【まとめ】いくら必要?〜勤務医が考えるライフイベントとお金の準備〜
【まとめ】いくら必要?〜勤務医が考えるライフイベントとお金の準備〜
この記事は全ての医学生・研修医・勤務医向けです.
医学部を卒業したとき, 医師として働くことで頭の中がいっぱいだと思いますが,
忘れてはいけないのは,
これからの人生で【いつ】, 【いくら】お金が必要になるかを考えないと,
【頑張って働いているのに, お金に不自由してしまう】.
ということです.
- 一生懸命働いているけど, 気がついたらお金がない
- 将来のことを考えるとお金のことが不安
- そもそもこれからどんなライフイベントに, いくら必要?
勤務医の誰もが一度や二度, 頭に浮かんだことだと思います.
そこで今回は勤務医のあなたが
【これからの医者人生でどのようなライフイベントがあり, いくらかかるか】をまとめたいと思います.
この記事を書いている僕も結婚した30歳まではライフイベントを意識しないまま過ごしていたために, 全くお金の準備ができていませんでしたが,
ライフイベントを意識することで,
【いつまでに, いくらお金をためればいいか】が明確になりました.
この記事を読むことで,
あなたのライフプラン=【いつまでにいくら貯めるか】が明確になり,
今日から, 無理なくお金を準備することにつながります.
【ライフイベント総まとめ】
医者がいくら高収入だからと言って, 数百万円単位のお金をいきなり用意することはできません.
なので計画的に【いつまでにいくら貯めるかを把握】して, 【毎月, 決まった額を貯めていく】ことが重要です.
同時に, いくら用意する必要があるのかを把握することで, 必要以上に節約したり贅沢を我慢する必要もなくなります.
プライベートでかかるお金
一般的な生活を送るだけでも結婚, 出産, マイホーム, 子どもの教育資金, 老後のためのお金, を用意する必要があります.
- 結婚式 500万円~(1人200万円~)
- 出産 100万円 + α(数か月分の当直・バイト代)
- マイホーム 頭金 0~1000万円
- 教育資金 2000~4000万円 x 子どもの人数
- 老後資金 2000万円
具体的に解説していきます.
結婚式 500万円~(1人200万円~)
医者の結婚式は一般の方の結婚式よりお金がかかります.
・会場が一流ホテルであったり
・教授を呼ぶのにお車代を用意したり
するからです.
東京の1流ホテルで結婚式を行うと
参加者100人のシンプルな結婚式だったとしても
結婚式+披露宴で500〜600万, お車代で100万円でTotal600~700万円 くらいかかります.
ご祝儀代で200~250万円くらいは返ってきますので, 残りの300~400万円を2人で用意することになります.
つまり【結婚式】のために1人最低200万円〜300万円,用意できれば, 安心です.
ただ結婚式は豪華にしようとすれば青天井でお金が必要になります.
せっかくの結婚式をたくさんのゲストを呼んで豪華に行うのなら結婚式+披露宴+お車代で1000万円かかると考えてください. その場合は1人400〜500万円用意しまししょう.
【関連記事】【教授よぶ?】医局Drが伝える【若手医師の結婚式】みんなの悩み5選
![](https://sidefirefordoctors.com/wp-content/uploads/2021/12/alvaro-cvg-mW8IZdX7n8E-unsplash-300x200.jpg)
出産 100万円+α(数か月分の当直・バイト代)
例えば都内の有名な産院(山王・慈恵・愛育)で出産しようとすれば70〜100万円ほどかかりますが
出産費用は国から【出産一時金】で42万円の補助がありますので
出産費用としては【30〜60万円】ほど用意できれば問題ありません.
ただ女性の場合は出産の前後は働くことはできないので, 働けない時期に必要なお金を用意する必要があります.
またお子さんにとってはお母さんだけでなく, お父さんも重要なので, 出産の前後は男性も仕事をセーブしてお家で過ごす時間を増やすことが必要だと思います.(例えば当直バイトを一時的に休んだり減らしたり)
そのためにも出産前に生活費の3か月分くらいのお金を余分に貯められると, 妊娠の大変な時期, 赤ちゃんが産まれてからの大事な時期をお金の心配をせずに過ごすことができると思います. (旦那さんが産休を取ったり, セーブしながら働くことで, 家族で過ごす時間を半年近く取れると思います.)
マイホーム 頭金 0~1000万
前提としてマイホームは資産になるもの, すなわち人に貸せたり, 価格を落とさずに売却できる物件に限り購入を勧めます.
それ以外の場合, つまり価値が下がる物件を購入してしまうと, 不必要にお金を失うことになります.
都心のさらに中心部の2LDKの中型のマンションがおススメです.
一般的には資産になるような1億円の物件を購入する場合は物件価格の10%程度の頭金を用意する必要があります. ただ, 医師は収入が安定しているので, 本来ならマイホームを購入する場合に必要な頭金がなくても, 物件を購入することができます.
現代は低金利(変動金利で1%以下)なので, せっかく貯めたお金を頭金に使うよりは, 投資に回したり, 今後の教育資金・留学/開業資金として残しておいた方がいいかもしれません.
そのような意味で【マイホーム頭金】は0〜1000万円としました.
【関連記事】【失敗しない】医者が不動産投資を始めるならマイホーム購入がオススメ
![](https://sidefirefordoctors.com/wp-content/uploads/2021/09/residential-property-2858226_1920-200x300.jpg)
教育資金 2000~4000万円 x 子どもの人数
あなたが医師である以上, お子さんが「お医者さんになりたい」と思ったときのために, 教育資金を貯める必要があるのだと思います. 最も大きい出費かもしれません.
お金がかかる私立か, お金のかからない公立・国立にするかでかなり変わりますが,
子どもを育ていく上で, それぞれの期間で教育費がいくら必要かを見ていきたいと思います.
幼稚園(2~3年) | 小学校(6年) | 中学校(3年) | 高校(3年) |
大学 4年/ 医学部6年 |
合計 | |
私立 | 160万 | 880万 | 380万 | 280万 |
500万/ 2400万 |
2200万/ 4100万 |
国公立 | 70万 | 180万 | 140万 | 120万 |
240万/ 400万 |
750万/ 910万 |
大切なお子さんに教育資金をかけてあげたいと思うのが親心です. ただ, 4年制の大学までであっても私立と公立・国立でTotal1500万円以上違うことを考えると, どっちがいいかをよく考えなくてはいけませんね.
【教育資金】としては2000~4000万円 x 子どもの人数かかることになります.
老後資金 2000万円
老後2000万円問題として国民に広く知れ渡りましたが, 老後資金として2000万円が必要だと言われています.
前提条件として
- 夫が65歳,妻60歳で無職
- 夫が95歳,妻90歳まで健在
- 老後30年間は毎月5.5万円の赤字
となっています
【老後資金】は5.5万円 x 12か月x 30年=1980万円となっています.
医師は厚生年金に入っていることが多いので, 奥さんが専業主婦だったとしても,
夫 14.6万円+α/月, 妻 5.6万円/月 で少なくとも毎月 Total20万円ほどの年金が支給されます.
老人夫婦が最低限の生活を送るのに必要なお金は22万円/月
ゆとりある生活を送るのに必要なお金は36万円/月と言われています
最低限の生活なら 2.0 x 12か月x 30年=720万円
ゆとりある生活なら 14.0 x 12か月x 30年=5000万円
必要ということになります.
![](https://sidefirefordoctors.com/wp-content/uploads/2021/12/matthew-bennett-78hTqvjYMS4-unsplash-300x200.jpg)
医者としてかかるお金
- 大学院 総額 90~260万+α(生活費 2〜3年分)
- 留学 700~1000万円
- 開業準備 1000~2000万円
大学院 総額 90~260万+α(生活費 2~3年分)
博士号を取るため, 研究を行うため, 大学院への進学を考えている方は多いと思います.
国公立の大学院は Total 約135万円
私立の大学院は Total 90〜260万円と幅があります.
大学院に進学をする場合, 大学院の入学金・学費とは別にある程度の貯金を用意しなければなりません.
これは留学の準備にも共通することですが, 大学院進学中は常勤の病院がなくなるために収入が下がります. 当直や外来バイトは続けられるため, 留学と違って収入が0になることはありませんが, 収入は大きく下がります. 大学院に通う数年間の生活費を貯金しておくことが必要です.
少なくとも【大学院】時代の生活費のために 10万円/月 x 12か月 x 2年=240万円のお金は必要と思います.
【大学院の費用+その間の生活費】で約500万円必要になります.
【参考記事】医学部大学院の学費
留学 700~1000万円
どこの国に, 何年間行くかにもよりますが,
アメリカをはじめとした先進国に3年間留学することを考えると,
【留学資金】として毎月20~30万円/月 x 12か月 x 3年=720~1080万円ほどはかかると思います.
留学先で給料が支払ってもらえるのなら貯めるお金を少なくてすみますが, 多くの場合は無給だと思いますので, やはり700~1000万円ほどは貯める必要がありそうです.
【参考文献】医師が留学するときの費用
開業準備 1000~2000万円
実家のクリニックを引き継ぐ場合は別ですが, 自分で開業を行う場合は, 開業資金を貯める必要があります.
クリニックを開くためには土地・建物・設備が必要で最低でも5000万円ほどが必要です.
診療科によって必要な設備が変わりますが, 【開業自己資金】として概ね1000~2000万円貯める必要があります.
精神科など, 設備がなくても開業できる診療科は貯金がなくても開業できますが, 利子がかかる借入金を減らすためには自己資金は多ければ多いほど良いと思います.
年代別 お金の貯め方
ここからは何歳までにいくらお金を貯めればいいのかの目安について解説します.
20代 結婚式・出産・大学院のために600万=月10万円
早ければ25歳になる歳から研修医として働き出します.
30歳になるまでの5年間で結婚式・出産・大学院のためのお金を貯めましょう.
具体的には30歳までに【結婚式 200~300万+出産 150万+大学院150万=600万円】を目標にしましょう.
1年に月120万円つまり【毎月10万円】です. 研修医で月10万円を貯めるのは辛いよ, と思うかもしれませんが, 若手独身時代はお金を寮に安く住めたり, お金を使う機会も少ないので, お金を貯めるチャンスです.
NISAやiDeCo, ふるさと納税を始めて, お金を貯める習慣を作ることが20代で最も重要なことです.
【関連記事】【勤務医が当直をやめるための資産形成 Step1〜5】
Step1【必修!】医者がお金持ちになれない理由&問題を解決する方程式
Step3【あなたを守る】勤務医のためのわかりやすい節税の方法
30代 教育・マイホーム・留学/開業のためにまずは1000万円
20代で貯めたお金は, 結婚・出産などの出費, 車の購入などで貯金はかなり減っていると思います.
30代は教育資金・マイホーム資金・留学/開業のためにまずは1000万円を目標にお金を貯めましょう.
この頃には収入も増えていると思いますので, 毎月20~40万円ずつ貯めていきましょう, 40歳になった時に, 3000万円〜4000万円ほど貯めていることが目標になるでしょうか?
40代〜 教育資金・老後資金
お子さんがいるかいないか, 医学部に行かせたいかどうか, によって準備するお金の額は変わってきます.
また, 当直を止めるためにもできる限り, お金の余裕があった方がいいと思います.
頑張って働いたのに, お金が貯まっていない,と言うことがないように, しっかり準備したいものです.
まとめ・関連記事
【まとめ】
勤務医がこれからの人生を生きていく上でかかるお金をまとめます
- 結婚式 500万円(1人200~300万)
- 出産 100万円
- マイホーム 頭金 0~1000万円
- 教育資金 2000~3000万円 x 子どもの人数
- 老後資金 2000万円
- 大学院 総額 90~260万+α(生活費 2〜3年分)
- 留学 700~1000万円
- 開業準備 1000~2000万円
目標としては
- 20代は 毎月10万円 30歳で600万円
- 30代は 毎月20~40万円 40 歳で3000~4000万円
といった感じでしょうか.
お金はただ貯金するよりも投資を行って増やすことが重要です.
興味がある方はこちらもご覧ください.
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