【後悔しない】研修病院選び, 大学病院医師が教える“相談してはいけない人“3選

医師のキャリア形成 研修医向け

後悔しない研修病院選び, 大学病院医師が教える“相談してはいけない人“3選

  • 【研修病院をどこにしよう】
  • 【自分が選んだ病院がダメな病院だったらどうしよう】
  • 【誰に相談したら本当のことを教えてくれるんだ】

医学部5,6年生なら誰もが1度は考えたり悩むことだと思います.

 この記事は

  • 研修病院選び方が分からなくなっている
  • 市中病院, 大学病院のメリット・デメリットを知りたい
    そんな医学生向けです

初期研修で選ぶ病院は, これから何十年と続く医者人生のスタートを切る,
大事な時間を過ごす場所です.

しかし, 研修病院選びが重要であると感じるからこそ

  • 研修病院を選ぶときに誰の意見を参考にするのが良いのか?
  • 大学病院の研修と市中病院のどちらが良いのか?
  • 後悔しない研修医生活を送るためにはどうすれば良いのか?

 と言った疑問が生まれる人は多いと思います.

この記事を読むことで

  • 研修病院選びで意見を聞くべき相手/聞かないほうがいい相手
  • 大学病院の研修、市中病院の研修それぞれのメリットデメリット7
  • 僕が研修医のときに戻れたらやりなおしたいこと

がわかります

この記事を書いている僕は

【関東の都心から離れた市中病院】で2年間研修医をして
その後の8年で市中病院2つ】大学病院】で働いた経験があります.
つまり【医学生・研修医の先生に勧誘を10年間行った経験】があるのです.

今まさに, どこの病院で研修をしようか迷っている医学生の皆さんに少しでも参考になればと思います.

研修病院選びで意見を参考にすべき相手/しないほうがいい相手

まず, 研修病院を選ぶ上で,
誰の意見が【参考になるのか】/【ならないのか】を話したいと思います.
  

研修病院を選ぶ時に意見が参考になるのは

【あなたが自分の病院に入っても入らなくてもどっちでもいい人】
つまり, 【医学生と利害関係にない人】です.

逆に,
【あなたに自分の病院に入って欲しい人は, 
あなたに都合のいいことしか言いません.】

具体的にそれぞれお話ししたいと思います.

参考にしない方がいい相手

繰り返しになりますが
【勧誘する側は, 医学生に都合の良いことしか言いません,
 都合の悪いことをわざわざ教えてくれません】

医学生のあなたに, 自分の病院に入ってほしい勧誘を行う先生や1学年上の先輩は
あなたがその病院に入りたくないと思うような情報=【事実】をわざわざいうことはないのです.

「そんなはずはない,ちゃんと質問して必要な情報を聞けば, 正しい情報を教えてくれるはずだ」

と思う方もいるかもしれません.

ただ, 現実に医学生を勧誘している側からすると「嘘をつくことはないですが、医学生が離れていくような情報は聞かれても答えません.」というのが本当のところです. 僕が医学生に勧誘を行うときもそうですし, 僕の周りの先生が医学生を勧誘している時にも, いいことはいうけど, 悪いことは言ってないな,  と思います.

多くの医学生が参加している【説明会】ではさらに医学生にとって都合のいい話しか出てこなくなります.
あなたが質問したこと, 質問に対する答えを多くの医学生が聞いているので, 希望者が減るような事実を勧誘する側は答えません. オンラインの説明会も同様だと思います.

【説明会に参加する時には質問してもいい答えしか返ってこない】と理解しておいた方がいいと思います.

実際に, 僕の所属している医局ではないですが,
他大学の同じ科の医局に入った女医さんは入局した後に, 
入局3年間は妊娠は禁止というありえないルールを知った, と怒っていました.

これは極端な例ですが, それでもやはり
【勧誘する側は, 医学生に都合の良いことしか言いません.
 都合の悪いことをわざわざ教えてくれない】というのは真実です

【具体例】

では, あなたに自分の病院に入って欲しい人はどんな人でしょうか?
それは

  • あなたが入らないと自分の当直の回数が増える1学年上の先輩医師
  • 研修医担当=勧誘担当の上司
  • 研修医担当の先生が紹介する(先生の意向を汲んだ)先輩医師

です.
これらの人に話を聞いても, あなたにとって都合の良いことしか聞けないと思います.

参考にできる相手

改めてですが, 研修病院を選ぶ時に意見が参考になるのは

【あなたが自分の病院に入っても入らなくてもどっちでもいい人】
つまり, 【医学生と利害関係にない人】です.

あなたが研修病院を選ぶ時にあなたが知りたいのは,
病院の外からではわからない,  実際に働いている研修医だからこそ知っている情報だと思います.

もちろん, 病院側からすると, 研修医の先生の病院選びにマイナスになるようなことは説明会のような多くの研修医が聞いているような場面では言えません. だからこそ個別に聞く必要があります.

【具体例】

あなた(医学生)が話を聞くべきは

【勧誘担当の指導医が紹介してくれた研修医の“隣にいる”研修医2年目の先生】

です.

その研修医2年目の先生に話を聞くメリットは以下の3つです. 

  • その病院で1年以上研修をしているので, 病院の雰囲気や実情をよくわかっています.
  • 今現在, 学生のあなたが自分の病院に来なくても当直の回数は変わらないのでホントのところを教えてくれます.
  • 指導医が紹介してくれた研修医と“隣にいる”研修医2年目の会話の中で, ぶっちゃけ話が聞けるかもしれません

大学病院/市中病院, それぞれのメリット・デメリット 7

僕は自分が市中病院で研修したこともあって, 医学生に「研修病院は大学病院と市中病院どっちがおすすめですか?」と聞かれたら, 基本的には市中病院での研修を勧めています.
ただ, 僕が市中病院を勧めるのはその市中病院の雰囲気が自分にあっていて, 自分がいい研修をできたと思えているからです.

日本の大学病院での2年の研修を終えた後, 現在までアメリカで勤務医として働いている僕の大学時代の友人がいます. 彼は大学病院を選んで正解だったと思いますし, その友達自身もそう言っています. 渡米のための準備をする時間を確保するために, ある程度の時間的な余裕があった方がいい, と考えていたからだそうです.

市中病院と大学病院のどちらがいいかは, 医学生であるあなたがどのような研修を送りたいと考えるかで違います.

基本的に大学病院研修と市中病院の研修のメリットとデメリットは相反する関係にあります. また大学病院のほうが使用される研修医の数は多くなるので, 同期の研修医の人数が多くなりますし, 市中病院の場合は逆になります. 以下の7点についてお話ししていきます.

  1. プログラムの自由度
  2. 手技を行う頻度
  3. 患者さん・先輩医師・医療スタッフとの距離感
  4. 就労時間に関する規定の遵守率
  5. 研究を行う時間の作りやすさ
  6. 勉強会・学会発表
  7. 医局を決めるときの判断

1. プログラムの自由度は市中病院の方が高い

僕も自分の科の研修医ローテート表を作ったことがあるのでわかるのですが【プログラムの自由度は市中病院の方が高い】です.

ここでいうプログラムの自由度とは,

  • 特定の科を長く回る
  • 直前にローテートする科を変える
  • ローテートしてから研修期間を長くする

というようなことができることを言います.

研修医の人数が多くなれば多くなるほど, その調整が複雑になりますし, 一度決めたローテート予定を再編することは難しくなります.
人数が多い大学病院では研修医一人一人の希望に沿った研修プログラムにすることは難しいです.
逆に市中病院, 特に研修医の人数はプログラムの自由度が高くなります. 

実際に僕は小児科を2年のうち6か月回りましたし, ローテし始めてから本当は他の科に変わるところ, 予定を調整させていただいて, 小児科の研修にさせていだきました.  

2. 手技を行う頻度は市中病院

【大学病院では採血・点滴以外の手技を研修医がやることはほとんどない】と思います.
患者さんの権利が高まっている現在, 後期研修医(医師
3年目)でも手技を行う頻度が減っています.

どんなにやる気のある研修医でも大学病院では手技を行わせることは難しいです.
逆に市中病院は研修医の手がないと医療が回らないので多くの処置を行うことができますし, 僕も一般外科をローテートしているときに執刀医を行わせていただきました. (勉強不足で途中でお取り上げになってしまいましたが…)

医師としての手技を身につけたいと思うのであれば市中病院を選んだほうが後期研修医が始まる3年目にストレスなく移行出来ると感じます.

3. 患者さん・先輩医師・医療スタッフとの距離感は市中病院の方が近い

【患者さん, 先輩ドクター, 看護師, 他のコメディカルとの距離感は市中病院の方が近い】です.

「自分は人と関わるのが苦手だし患者さんとの距離感が近いのは大変そうだ, 大学病院のほうがいいな」と思ったあなた, もしあなたが患者さんと直接関わらない診療科を選ぶなら大学病院を選ぶ方がいいと思います.

しかし, もしそうではないなら市中病院を選ぶことを勧めます。

なぜなら【医者の仕事の多くはコミュニケーションをとることによって行われている】からです.

患者さんに診察・説明をするのも, 
困ったことがあったときに先輩医師に相談するのも, 
看護師に指示を出すのもコミュニケーションです.

医師として必要なコミュニケーションは市中病院のほうが身につきやすいと思います. 

大学病院は大規模なので, 人が多すぎるので, かなり近い人以外とは人間関係はほとんど作られません. ストレスも多く殺伐とした中で働かなければいけない時もあります.
市中病院は規模が小さいので, 病院にいる人全員と言わないまでも, 院長から清掃スタッフまで,みんな顔馴染みになるからです. 

コミュニケーションをとりながら医療スタッフの一員として楽しいスタートを切るには市中病院の方がいいと僕は思います.

4. 就労時間に関する規定の遵守率

大学病院の方が就労規定が守られていることが多い】です. 僕が現在働いている大学病院では指導医の側に【研修医の労働時間は9−17時, 休日出勤はさせてはいけない】というルールがあります. 
自主的であっても土日に研修医が病棟に来ていると労務担当のスタッフから指導医が確認をされることがあります.

もちろん絶対的なものではないですし, 僕が研修した市中病院でも当直明けは早めに帰ることも可能でした.
ただ科によっては帰ることができない科もありました.
やはり, 大学病院のほうが就労規定は遵守されていると思います. 

「休みがあるほうが良いじゃん」 と思うかもしれませんが, 現実はそう単純ではありません.

診療科を決めて後期研修医になった後はそのような就労規定は関係なくなります.
自分の時間・体力・気力を医師としての経験・体験に変換していくことになります.
医師としての時間は
2年間の研修医生活を終えた後のが長いです.

医師としての生活リズムを作るためにも労務規定で守られている大学病院に, 慣れすぎない方がいいのかなと思います. 僕が市中病院の方があっていたのは, 僕はサボり癖があるので, 仕事をしなければいけない環境に身を置くほうがあっていたからだとも思います.

5.研究を行う時間の作りやすさ

【医学生の時にしていた研究を続けたい, 研修医として働きながらも研究を行なっている人には圧倒的に大学病院が有利です】. というか大学から離れた市中病院で研修医を行いながら大学でしていた研究を続けたり, 研究室に所属することは僕は不可能だと思います.

学生の時からしている研究を続けたい, 研修医になっても研究を行いたい, そんな方のために大学病院の研修があるのではないか, とさえ思います.

大学病院にはそのようなマインドを持った研修医への理解がある指導医も多いと思います.
逆に市中病院ではやや煙たがられてしまう場合もあるかもしれないお思います.

6. 勉強会・学会発表・エビデンスの使い方

【勉強会の質や学会発表の指導に関しても, 治療方針を決める時のエビデンスの使い方についても大学病院が勝る】と思います. 

勉強会の議論の質も高いです.
難しい病気に限らず, 一人一人の患者さんに対するディスカッションもきちんと行われている印象があります.
病気の見方・治療方針の決め方などは大学病院の方がきちんと考えられていると感じます.

ただ問題はディスカッションや, 治療方針を決めるプロセスに研修医が積極的に参加しない場合も多いと思います. なんとなく勉強会に参加しているうちに勉強が終わっていたり, なんとなく患者さんを見ているうちに, なんとなく患者さんが良くなって退院していたり, 結局何が起きていたのか分からないということが起きてしまいます. 

7. 医局を決めるときの判断

【 医局を決めるときの判断も研修病院の決め方に関係します.】

【自分の大学の医局に入局する人は市中病院, 
自分の大学以外の医局へ入局する人は大学病院で研修をするのがオススメ】です.

研修医2年間を終えてから, 多くの方はどこかしらの大学病院の医局に入局される方が多いと思います.
その際, その医局の雰囲気がわからないのは不安だと思います.

研修後にそのまま市中病院に残る方もいると思いますが,
医者人生=医者として働く期間が
20代から始まって60代, それ以降も続くかもしれないことを考えると選択肢を最初から狭めない方がいいと思うので一度は医局に入るのが個人的にはいいのではないかなと思います. 

医局の雰囲気を知らないで入局するのは非常にリスクが高いと思います. 
自分の大学の医局への入局を考えている人は学生の時に科の雰囲気がわかっているので, 市中病院がオススメ, 
自分の大学以外の医局への入局をしようと思う方は入局を考える大学病院で研修をするのがオススメです.

まとめ

市中病院に向いているのは

  • 自分の出身大学の医局に入ることが決定している人
  • 臨床医としての働き方を身につけたい人 
  • 自分にサボり癖があることを自分で理解していて, 仕事を与えられた方が働ける人

大学病院に向いているのは

  • 基礎系, 放射線診断など人と関わらない進路に進みたい
  • 入りたい医局があるけど, 医局の雰囲気に研修医の間に触れておきたい人
  • , 将来研究や発表を行いたいので, 研究マインドを身につけたいなど向上心を自分で維持できる人

市中・大学, どちらに進むにしても

市中病院, 大学病院のどちらに進むとしても,
【自分の研修病院の強みと弱みを意識して,
自分の研修病院の弱みを補うような姿勢が重要】です.

具体的には

  • 市中病院なら積極的に院外・オンラインの研修会・勉強会に参加する,
  • 大学病院なら手技が少ないので, 少ない手技のチャンスを逃さないように予習して診療に臨む

というような姿勢が必要だと思います。

僕がもし研修医に戻れたらやり直したいこと

最後に僕がもし研修医のときにやっておけばよかったと思うことを少し書きたいと思います.

医師としての研修について, そして研修以外のことについて一つずつあります.

研修について, やり直したいこと

研修に関していうと, やり直したいことは内科の勉強】です.

自分は研修医になってすぐに小児科に進むことを決めたので, 内科の研修をなんとなくやってしまった部分があるのですが, もし研修医に戻れるなら, もう一度内科の勉強をしたいなと思います.

やはり内科は医学の基本です.
内科の病気の症状は全身に出ますので, マイナー科も含めて何科に行ったとしても必要になります.

研修以外のことで, やり直したいこと

研修医がいでやり直したいのは, 【お金の管理】です

医者は給料としてもらえる額が大きく, 職を失って給料を貰えなくなるリスクが高いので, お金の管理が雑になりがちです.

しかし医者の人生は他の職種に比べてお金がかかります.
給料が多いからこそ増える【税金】, 【結婚】, 【教育】, 【大学院】, 【留学】,,,

研修医のときから将来使うお金について意識しておけば,
将来お金のために自分の時間, 体力, 気力を無駄にすり減らさずにすみます.

【何も考えずに働いてお金を使うのと,
お金の管理を意識して人生を送るのでは将来何千万円という差につながります. 】

自分は医者10年目に結婚して子どもができて初めてそのことに気がつきましたが,
読者の皆さんには医学生のうちから,
【医者としてのキャリアプラン】だけでなく,
【自分の人生のライフプラン】, 【マネープラン】を考えて欲しいなと思います.

まとめ

Q&A形式にしました

Q;研修病院を選ぶときに誰の意見を参考にするのが良いのか?

A:自分の研修病院選びと利害関係のない人に相談しましょう
 具体的には研修担当の先生が紹介しれくれた研修医の先生の近くにいる2年目の研修医の先輩です

Q:大学病院の研修と市中病院のどちらが良いのか?

A1:市中病院に向いているのは

  • 自分の出身大学の医局に入ることが決定している人
  • 臨床医としての働き方を身につけたい人 
  • 自分にサボり癖があることを自分で理解していて, 仕事を与えられた方が働ける人

A2:大学病院に向いているのは

  • 基礎系、放射線診断など人と関わらない進路に進みたい
  • 入りたい医局があるけど、医局の雰囲気に研修医の間に触れておきたい人
  • 将来研究や発表を行いたいので、研究マインドを身につけたいなど向上心を自分で維持できる人

Q:後悔しない研修医生活を送るためにはどうすれば良いですか?

A1:内科の勉強はどの診療科に行っても役に立ちます.
  マイナー科も含めて何科に行っても役に立つので将来の自分のために勉強しましょう.

A2:お金の管理の仕方を意識できるようになりましょう.
 早めに意識し始めることが将来, 何千万円の差になります.

【関連記事】

実際に資産を増やして自分と家族を守り, 選択肢を広げるために, 
ぜひ, 以下の記事もご覧ください. 

Step1【必修!】医者がお金持ちになれない理由&問題を解決する方程式

Step2【無料】医者のための分かりやすい確定申告のやり方

Step3【あなたを守る】勤務医のためのわかりやすい節税の方法

Step4【簡単,続く】忙しい勤務医のための家計簿講座

Step5 【お金持ちへの第1歩】証券口座の作り方教えます

番外編【要注意!】医者がワンルームマンション投資に騙されないための知識10

番外編【失敗しない】医者が不動産投資を始めるならマイホーム購入がオススメ

番外編【最強】勤務医のクレジットカード【エポス プラチナ】を勧める10の理由

番外編【無料お試し】あなたの未来を広げる意外な医師向け転職サイトの使い方

この記事がいいと思ったらTwitter の登録をお願いします.

この超基本の知識を知るだけでは不十分です.
実際に資産を増やして自分と家族を守り, 選択肢を広げるためには行動が必要です.